俺の名前を決めたのは、鬼利だった。
屋根裏に閉じ込められていた俺に、読み書きと簡単な計算や時計の読み方を教えてくれたのも鬼利だ。
屋根裏の唯一の娯楽だった柵付きの大きな窓からその外の世界を教えてくれたのも、先代から始まった奇妙な宗教に取り付かれた俺達の親族の馬鹿さ加減を教えてくれたのも。
数百ページに及ぶ本を一度読んだだけで、その全てを一言一句違わずに暗唱出来る俺のズバ抜けた記憶力のことを教えてくれたのも。
つまりその頃の俺の知識は大半が鬼利から与えられたもので、狭い空間に幽閉されていた俺にはその他のことを知る術なんて無かった。
だから、人間の体っていうものがあんなにもあっさりと異物を通して、しかも破れて崩れてしまうものだなんて、全く知らずにいたんだ。
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Twins過去話
基本流血グロ表現(死体等)