「ぁ、ひっ…はぁう、…んンッ…!」
シーツに突っ伏して、ねだるみてェにはしたなく持ち上げた腰をがくがく跳ねさせながら、俺は震える手を奥に伸ばした。
俺の中を絶好調に掻き回すフックみたいな似た形をしたその玩具はエネマグラっつゥ名前で、長い方が中に入り込んで前立腺に、短い方が会陰にぴったり張り付いて、直腸の蠕動運動に合わせて交互にその2つの性感帯を突き上げるとんでもねェ代物だ。
「ふぅ、うぅ…ッあ…ぁあああっ!」
頭を滑らかなグレーのシーツに擦りつけながらエネマグラを引っ張り出そうとするが、取っ手もねェ滑らかな表面はローションで濡れてる上、その間もずゥっと休みなく前立腺を突き上げらンのと会陰を押し上げられンのを続けられてちゃァ、力なんて入るワケがねェ。
「あぅうッ…!は、はぁっ…ぁ、あ、…ぁあッ!」
なんとか指を引っかけて抜こうと力を入れた瞬間、角度を変えたエネマグラに刺激され続けた前立腺をごりりと擦られて、もう何度目か知れねェドライでの絶頂に力の入らねェ体がびくびくと跳ね上がる。
「はひッ…ぃ、あっ、うぁああ…ッ!」
絡みつく内壁の蠕動に合わせて動くエネマグラは、絶頂の痙攣に合わせてモーターでもついてるみてェに蠢いて過敏になった粘膜を苛んでくるから堪らねェ。空イキの重たい余韻に上乗せされる頭が白く染まるような快感に、すぐまた気をやっちまいそうになるのを歯ァ食いしばって耐えながら、俺はヤク中みてぇに震える手で暴れまわるそれを外側から押さえつけた。
「ひくッぅ、うう…っッぁ、は…ふぁ…ぁ、っ」
動きは多少鈍くなる代わりに会陰をぐぅっと押し上げるようにするハメになって、尿道に奥まで金属の棒を突っ込まれてイクにイけねぇ体が、精液を押し出されるような感覚に切ないような重苦しい愉悦で一杯になる。
体の芯を焦がす熱に耐えきれずに甘ったりィ吐息を吐けば、寝室のドアを開く小さな音がそれに重なった。
「…まだ遊んでたの?」
扉を後ろ手に閉めながら、ベッドに這いつくばって喘いでる俺を見て鬼利が軽く目を細める。
無駄吠えの躾はされてるが、バイブやローターなんて玩具とは違う、ピンポイントで一瞬も休まず性感帯を嬲り続けるエネマグラの刺激に、俺には随分前から声を堪える余裕なんて無い。
はしたねェ喘ぎ声はリビングにいた鬼利にだって聞こえてただろうに、冷たい目をした双子の兄貴は俺を見据えたまま静かに溜息を吐いた。
「お前の貪欲さにも困ったものだね」
「き、りっ…ちが、とれ…な…ッ」
すぐ傍に鬼利がいンのに、こんな温度もねェ玩具で満足していられる程俺ァ節操のある体をしていない。
興味本位に遊んでた所を帰って来た鬼利に見つかってこれを突っ込まれてから、もう何度も何度も抜こうとしてるンだが、鬼利の手で奥の奥までしっかりと差し込まれたエネマグラはどう頑張っても俺の手じゃ抜けなかった。
「飽きたら抜け」ッて言われてていくら耐えてもご褒美も仕置きもねぇんだ、なのに1時間も一人遊びなんかするわけもねェ。
「取れない?」
「ふ、ぅく…っす、すべって…ッ」
ほんの少し訝しげな顔をしてベッドの端に腰を下ろした鬼利に、俺はがくがくと頷いた。粗相をしねェように、ってモノに突っ込まれた金属の棒は射精こそ堰きとめたまンまだったが、溢れた先走りでその下のシーツはぐっしょりと濡れて色を変えている。
「返しがついてる訳でもないのに、おかしいね」
「あぁ、ッ…は、はぁぅ…っ!」
形のいい眉をほんの少し顰めて、鬼利は足元が解る程度に引き絞られてたライトの光度を限界まで上げた。ベッドに乗り上げて俺の背後に周ると、ベッドにうつ伏せて腰だけ上げた酷ェ格好の俺を顔色一つ変えずに眺めながら、中と会陰を同時に責め立てる玩具の滑らかな表面をつぅ、と指先で撫でる。
「…とても悦んでるように見えるけど?」
「ッそ、んな…じゃ…っは、ぅ…おねが、…鬼利…!」
「全く…一人遊びの始末も出来ないなんてね」
心底呆れたように言って、鬼利は小刻みに震えたり跳ね上がったり落ちつきのねェ俺の体をくるりとベットの上でひっくり返した。
「あうぅッ!」
「ほら、よく見せて」
「ひ、ひぁ…ッぁ、…は、ぃ…ッ」
前立腺にぴったり張り付いた先端に嫌ってほどそこを抉られて背中が反りかえるが、別世界にいるみてェに涼しい顔の鬼利の声はどこまでも平坦で、一番敏感な場所を緩やかにつつかれ続けンのに荒い息を吐きながら、俺はてめェの足首を掴んで大きく膝を開いた。
「そのまま、大人しくしてるんだよ」
「ん、んっ…ぁッくぅうン…っ!」
ぎちりと足首に爪立てて頷いた俺をちらりと一瞥して、鬼利の指がエネマグラの孤の部分に無理矢理入り込む。
やっとこの生温い快感の渦から解放されるって、跳ね上がりそうになる体を抑え込みながらそう思った、瞬間。
「ふあぁッ!?ぁ、ひッ!ぃあぁ、あ、あっぁあッ!」
ほんの少しだけ引き出されたエネマグラを持ち直した鬼利の手に、抜くどころかぐちゅぐちゅと水音を立てながら前後に激しく揺り動かされて、目の前が白く染まるような強烈な快感にがくんと体が跳ね上がった。
電気でも流されたみてェにびくびくと跳ねる足がシーツを掻くが、鬼利はそんな事にゃァお構いなしで、無機質な玩具の両端で絡みつく内壁をぐちゃぐちゃに掻き回しながら、会陰をぐりぐりと捏ね回す。
「はぁあうッ…!ッぁ、やめ…ッイっちま…ぁ、いッ!」
千切れるくらいにシーツを握り締めて、手放しで喘ぎながら奥の方からせり上がる気の遠くなりそうな愉悦の予感にシーツに擦りつけた頭が、不意に前髪を引っこ抜かれそうな痛みと共に浮き上がった。
「は、っ…ぁ、あ…!」
「……」
焦点のぼやけかけてた視界が、凍りつきそうに冷たい橙色を捉えて明度を上げる。背筋が凍りつきそうな容赦のない眼光に、それまでの快感も忘れてびくりと顔を強張らせた俺を見たまま、前髪を掴み上げて俺を引き摺り起した鬼利はゆっくりと目を細めた。
「…抜いて欲しい、って言ったのはお前じゃなかった?」
「っ…は、い…!」
「自分で抜けないって言うから手伝ってあげたのに。僕に指図するなんてどういうつもり?」
「ご…ごめんな、さ…ッ!」
震える舌でなんとか謝った俺に、鬼利は赤い唇だけを吊上げて笑う。
「その中身の無い謝罪も聞き飽きたよ」
「ぁ…ふぐ、ぅッ…!」
冷たく突き離す言葉に縋るような声を漏らしかけた俺の口を、太い棒状のギャグが塞いだ。目を見開く俺の髪を優しい手つきで梳きながら、頭を抱くようにして回された鬼利の手が後頭部でカチリとギャグを支えるベルトの留め金を止めると、顎が鈍く痛むほどキツくベルトを締め上る。
「せっかく蓋をしてあげたのに、ここもこんなに濡らして」
「ふぅ、うッ…ん、んぅうっ…!」
ぐ、と胸板に力を掛けて俺をシーツに寝かせた鬼利の手が、棒を呑み込まされてひくひくと震える尿道口を撫でる。異物に割り開かれて充血したそこはいつもより敏感で、少し爪を立てながら円を描くように撫でまわされるだけで気が遠くなりそうだ。
「面白い玩具だね。ナカの動きが全部わかるよ」
「ん、んッ…んくッん、んんぅ!」
ほんの少しだけ引き出されてたエネマグラは悦んで絡みつく内壁のお陰ですっかり元通りで、瞳を細めた鬼利のからかうような言葉に羞恥を煽られた体がきゅう、とエネマグラを締め付けた。
強く性感帯を押し上げられて忘れてた熱がぶり返す。そんな様も鬼利には全部見られちまってるンだろう、鬼利が小さく笑ってリング状のピアスを嵌めた俺の左乳首をぴん、と指先で弾いた。
「んぅッ、ん、ふぅンん…ッん、んー…!」
ピアスに引っ掛けられた指が無造作に持ち上げられ、引き伸ばされる甘い痺れを孕んだ痛みに浮き上がりそうになる背中を、必死でシーツに擦り付ける。
容赦なく引かれてせっかく鬼利に開けて貰ったピアス穴が千切れちまうンじゃねェかって思うと少し怖かったが、俺の体は全部、元々鬼利のモノだ。鬼利がそうしたいと思ったンなら俺には感受する以外の選択肢なんざ初めから無い。
「んぅうッん、ん…ッふ、ぅ…っ」
「…幽利」
不意にぱっと手を離されて体の力をゆっくり抜きながら、哀願するような目つきにならねェようにそっと鬼利を上目使いに伺った。無駄口を叩かねェ従順な姿勢を気に入ってくれたのか、鬼利に今日始めて名前を呼んで貰って頭の中がじんわりとした暖かい愉悦に白く滲む。
陶酔しきった目で鬼利を見上げる俺にくすりと笑って、鬼利はシーツを握り締める俺の手を棒を呑まされたモノの上に移動させた。
「抜いちゃ駄目だよ?」
「ンッ…ん、ふぅうッ…!」
深くまで入り込んでた棒をゆっくりと引き出されて、押し込められていた先走りやら精液やらが渦を巻きながらせり上がってくる。ずっと押し広げられてた所為でじんわり痺れた尿道の内側を棒に擦りあげられる感覚は知っているどれとも違っていて、射精にも似た快感に俺はシーツの上で背を反らせた。
「意識が反れれば抜け易くなるかもしれない。傷つくからゆっくりやるんだよ」
優しい声に耳元で囁かれて、俺は抜けかかった棒をまた奥まで押し戻しながら夢中で頷く。
「んぅうッ…ん、んンんッ…うぅンッ!」
感じた分だけ締め付けられるエネマグラは抜けるどころかますます強く動くが、ただでさえ鈍い上に快感に犯されて更に働きの悪ィ俺の頭じゃァ、どうして、なんて考える余裕は無い。
朧げな意識の中。ただ鬼利に言われるがまま、そろそろと押し戻していた棒の先端が、こつりと何かに触れた気がした。
「――――ッ!」
声にならない、最早悲鳴に近い嬌声がギャグに塞がれた幽利の唇から溢れる。
長時間の淫虐に力の抜けた体が電気でも流されたようにビクりと跳ね、棒の隙間からどぷりと濁った先走りが漏れた。
「んうぅ!ん!ぅ、ふッぅ、ぅッ!」
シーツに頭を擦りつけるようにして白い喉を晒した橙色の瞳からは、もう意思の光は消し飛んでいる。棒を掴んでいた手が無意識の内に尿道の中から前立腺を刺激するそれを抜こうとするのを、鬼利はその手首を掴んで阻んだ。
「んーッんンーッ!んッ、ぐぅッふぅンんッ!」
「少し深く入ったかな?」
痙攣しながら身悶える幽利の手を一纏めにしてシーツに押し付け、膝で内腿を割り開いて足を開かせながら、鬼利はくすりと笑うと焦点を飛ばした幽利の頬にそっと手を這わせた。
尿道から前立腺を刺激されてうねる内壁にあわせ、意思の無い玩具は情け容赦なくドライでの絶頂に痙攣する幽利の性感帯を内側から責め立てる。その動きにまた精液を出さずに上り詰め、永遠に動きを止めないエネマグラにまた責められて、その繰り返しだ。
「ふぅううッん、んッ!ッは…ぁあ゛ぁッ!」
延々と続く過ぎた快感に過呼吸を起こし始めた幽利の口からギャグを外すと、忙しない呼吸を繰り返す濡れた唇から空気を貪るように赤い舌がちらちらと覗く。
「はぁ、あぁッ…ぁ゛、あー…ッ!」
叫ぶようだった嬌声が次第に頼りなく、吐息のようにか細いものに変わっていくのを聞きながら、鬼利は愛しい片割れを責め苛む玩具に手を伸ばした。
意識を吹き飛ばすほどの快感に晒されながらも鬼利の手を振り払おうとはせず、拘束されるがまま気が狂いそうな愉悦の渦に悶える幽利を見ているのも愉しいが、これ以上は本当に壊れてしまう。
「あ、あッぁア!…ッは…ぁ、…あ…ッ」
「こっちはもう少し我慢だよ」
「はぁッ…ぁ、くぅ…んっ…!」
尿道から前立腺を刺激する棒を少し引き出しながら囁けば、辛そうに眉を顰めながらも微かに頷いた。手首を押さえていた手を離してしっとりと汗に濡れた髪をかき上げる鬼利の手に、震える指先が甘えるように絡みつく。
「っ、…こわ…た、…へん…に…」
「…変になりそうで怖かった?」
「ん、んっ…」
小首を傾げながら聞き返す鬼利にこくこくと頷いて、相変わらず焦点の定まらない橙色が生理的では無い涙を零した。
「…それは少し困るな」
幽利の目尻に浮かぶ涙を指先で優しく拭いながら、鬼利は苦笑混じりに呟いて取り出した自分のモノを潤んだ幽利の奥に宛がう。
「っ…ひぁ…!」
「あんな玩具如きに、お前を壊されたくない」
「ッ、き、…ぁああ…ッ!」
「…っ、…」
エネマグラに犯され続けた幽利の中は熱く、搾り取るように絡みつく溶けた内壁に鬼利は小さく息を吸い込んだ。
「あッ…!ぁ、んっぅ、ぁ…つい…ッ」
掠れた声で鳴きながら、幽利の手が首筋にキスを落とす鬼利の髪をかき乱す。普段はそうと言わなければ触れることすら躊躇う幽利の手が緩く髪を引くのを感じながら、鬼利は喘ぐように荒い息を吐く幽利の唇を甘く噛んだ。
「イキたい?幽利」
「ぁッは…ん、んぁッ…ゃ、…ぁ、あッ」
「…嫌?」
深い突き上げに押し出されるように嬌声を上げながら、鬼利の訝しげな声にこくこくと幽利が頷いた。
行き過ぎた快感に体は悲鳴を上げているだろうに、蕩けた橙色はうっとりと鬼利を見上げて、吐息のように掠れた睦言を紡ぐ。
「おに…ちゃ、と…っしょ、が…いい…っ」
濡れた密やかな声に、宝石のように硬質な橙が僅かに見開かれ―――直後に耐えるように伏せられた。
「あッ!ぁ、あっ…ふか、…ぁうぅッ…!」
「……」
「ひぅ、うっ…あ、ぁ、あッ!」
深く早くなった突き上げにされるがまま揺さぶられていた幽利の体が、ずるりと体温に温まった尿道の棒を引き出されるのに小さく跳ねる。
押し留められ続けていた精液が勢いを無くしてどろりと溢れ、普段よりも長く引き伸ばされた絶頂の快感に、鬼利を包む内壁が食い千切りそうにキツくそこを締め上げた。
「ッ…は、…」
「あ…っ…」
搾り取るようにうねる灼熱に逆らわず注ぎ込まれた熱い欲に、緩く見開かれていた橙色がうっとりと細まる。
「お、に…っ…ん、…」
「……」
甘く囀る濡れた舌を、深く息を吐いた鬼利の唇が塞いだ。
乱れた呼吸を阻害された幽利はそれでも鬼利に答えて舌を絡ませるが、既に限界を超えている体はゆっくりとその意識を飛ばし、鬼利の首に回されていた幽利の手がシーツにぱたりと落ちる。
「……」
意識を失った舌先をちゅく、と軽く吸ってから鬼利は顔を上げ、くったりと弛緩してシーツに埋もれる幽利を見下ろして軽く目を細めた。
少し乱暴な手つきで己の指先に拭われた唇に浮かんだのは、自嘲するような小さな笑み。
「…僕の方が壊されそうだよ」
Fin.
リクエストNo.37「香織」様、No.83「ありさ」様
『悦or幽利エネマグラ責め』
『KY甘々鬼畜プレイ』
より、折衷させて頂きまして双子甘め鬼畜エネマグラ責めです!
何名かの方からリクエスト頂いていた幽利の「おにいちゃん…」もちょっぴりだけ。
悦より快感耐性の低い幽利の乱れっぷりを愉しんで頂ければ幸い。
香織様、ありさ様、リクエストありがとうございました!
