「な、何これ…」
「何って…アレだろ?この前頼んだヤツ」
「ッ…俺はここまできっちり揃えてくれなんて頼んでない!」
「ンなこと言ってもしょーがねぇって…こーゆーセットなんだし」
「だって普通、もっとこう…なんかガキの玩具みたいのだろ!?っつか何だよこのデカい注射器。何に使うんだこれ?」
「あー…悦、それは見ない方が…」
「えっと、8番………ッはぁあぁぁあぁ!?」
「だから見るな、つったのに…大丈夫、俺もさすがにソッチの趣味はねーから」
「っっったり前だバカぁああ!ふざっけンなっつゥんだよマジで!もういい!返す!」
「この会社、不良品以外返品不可だから。取り敢えず落ち着けって」
「落ち着けるか!…って、傑…おま、何持って…!」
「ん?…せっかく買ったんだし、使わねーと損だろ?」
「ッや…耳元で喋ンなっ…!俺はやんないっ」
「素直じゃねーな、ホントは興味あるくせに。…ま、嫌だつっても強制参加だけど」
「ッひ…興味なんて…っちょ、脱がすなぁあぁ!」
純白の白衣にネクタイ、首から下げられた聴診器、黒縁の伊達眼鏡。
「似合う?」
「……とっても」
わざと皮肉っぽく言ってやったら、傑は伊達眼鏡をちょいと指先で押し上げながら小さく笑った。きっと俺が嫌味を言ってるんだと思ってるんだろーけど、実はそうじゃなくてホントに似合う。大体、元がああなんだから似合わない服なんてそうそうあるわけないんだよ。悔しいから言ってやらないけど。
…でもまぁ、今大切なのは傑のコスプレじゃなくて。
「なんで、俺こんな格好させられてンだよ…!」
薄青い検査着を上下着せられて、両手首をそれぞれの足首括り付けられ、足も曲げたまま動かせないよう太腿に白い包帯を巻かれた、「患者役」らしい俺の格好。
「嫌?」
「イヤ!」
「似合ってんのに。…凄い、ヤらしい」
横で弄ってた聴診器を投げ出しながら、傑は体育座りみたいな格好の俺の背後に回った。最後の抵抗にと膝をぴったり合わせてガードしてたら、傑は俺を後ろから抱きしめるみたいな態勢で大きく開いた裾から手を忍ばせてくる。
「ん、んッ…」
「”検査と偽り患者を苛める変態医師”と、”子供患者を叱るショタコン医師”、どっちにする?」
「な、何が…っ?」
「シナリオ」
肌を撫でる指先の動きに耐えながら傑を振り返ると、傑がさっき読み上げたらしい冊子を見せられた。可愛らしい絵つきで解説されてた「恋人ともっとノれる・お医者さんプレイ☆」って文字と、その下に書かれたシチュエーションに軽く眩暈がする。
「ほら、どっち?」
「ど、ちって…ショタは無理だろ、どー見ても…ぁッ…!」
「そ?ここであえての幼児プレイってのもよくないかと」
「よくね…ッん、ぅ…っとにお前、どんだけマニアックなんだよっ」
「普通だろ、このくらい。こっちが嫌ってンなら変態医師ってのになるけど。いいの?」
「…っだ、て…そっちの、方が…は、ぁっ…傑、好き…だろ?」
吐息で首筋をくすぐられながら、薄っぺらい生地の下に潜り込んだ指先に乳首を擽ったり押しつぶしたり撫でたりされて、どんどん自分の呼吸が熱っぽくなってくのを聞きながら上目遣いに傑を見上げる。
ちょっと黙った傑はすぐにいやらしい笑みを浮かべて、微妙にずらされた眼鏡のフレームから直で来た視線が俺を真っ直ぐ射抜いた。
「”悦くん”と”悦さん”どっちがいい?…あ、俺は呼び方”先生”でヨロシク」
「んんッ…じゃ、ぁ…”悦くん”、で…」
「了解」
いつもと違う雰囲気にちょっとぞくぞくしながら言ったら、傑は小さく笑って頷くと俺の膝に手をかけていきなり足を割り開く。
「ちょっ…」
「コラ。…勝手に閉じんなよ。ちゃんと…開いて、大きく」
さっきのやり取りから「お医者さんプレイ」は始まってたらしい。閉じようとした俺の膝の間に腕を滑り込ませ、わざとヤらしく囁きながら傑の掌がするすると内腿を滑っていく。
「開く、って…」
「力抜いて。…そう、そのまま。勝手に閉じるなよ?」
「…ッ…」
「返事は?…悦くん」
「っ…は、ぃ…ッっ」
な、何これ、何これ…!
言われるがままに力を抜いた俺の膝を傑は片手で割り開いて、足首に繋がれた手に指先を絡めてくる。しかも傑は後ろにいるからあの甘い声を至近距離で聞く羽目になってて、くちゅ、と音を立てて耳を甘噛みされただけで痺れるような快感が走った。
「…ンじゃあ、悦くんの体に悪いトコロが無いかどーかこれから検査します。手荒なことはしたくないから、じっとしてるよーに」
「ん…はい、」
くい、と眼鏡を指先で押し上げながら無表情に言われて、思わず体が硬くなる。そんな俺を横目に、傑は片手を伸ばしてシーツにばら撒かれたモノの中から黒い布と小さいローターを持ち上げると、当たり前みたいな自然さで俺の目元を布で覆った。
「ちょ、と…すぐ…」
「”先生”」
「…せ、先生…なんで、目隠し…?」
「なに、怖いの?」
くす、と耳元で笑う傑に唇噛み締めてたらいきなり近くでウ゛ー…、とあの低い独特のモーター音が聞こえて、ぴく、と指先が震える。
そんな俺に構わず傑はローターを最弱まで絞ると、いきなりべろっと俺の服の裾を捲り上げた。ローターが当てられたのは予想通り、指で弄ばれてぴんと膨れた乳首で、皮膚の表面を波打たせるような細かくて弱い振動にシーツをぎゅ、と握る。
「ちょっとここ噛んでろ。…そう、そのまま」
「ん、んッ…ふぅ、ぅ…っ」
捲り上げられた服の裾を口に含まされて、言われるがまま噛みしめた耳元でビビっ、と大きな音が響く。
思わず音のしたほうを振り向くけど傑は何も教えてくれなくて、ぐりぐり押し当てられてたローターが皮膚に貼り付けられた感触で、ようやく俺は音がテープを千切った音だってことに気づいた。
「ん、むッ…んぅうっ…!」
「くすぐったい?」
「ぁんンッ!…ふ、ぅっ…ぅうぅッ…!」
腹筋の上をするする撫でる手つきがくすぐったくて頷いた途端、いきなりモノを検査着ごと掴まれて体が跳ねる。
下着は着けてないから傑の手の感覚がダイレクトに伝わって来て、事務的な手つきで擦り上げられただけでザラついた安っぽい生地が擦れて腰が震えた。
「んくぅうっ…!ん、ふっ…んーッ…んンっ!」
布ごと乱暴に扱かれるともう、カリとか先っぽとかの敏感な部分に荒い繊維が引っかかって、滲んだ先走りに上の方の布が濡れて張り付いてくるのが解る。
「凄い安物だな、この服。生地薄過ぎてめちゃくちゃ染みてきてる」
「んぅーッ、んっ、ぅうんっ…!ふぅうっ…!」
「…あぁ、違うか」
先走りで濡れてぴたっとモノの先端に張り付いた布を剥がそうとしてるのか、カリカリ爪で敏感なところをゆるく引っかかれたり指の腹で布を摘もうとされると、1番敏感なところばかりを刺激される快感にまた先走りが溢れ出る。
布の上からでも解るくらい染みてるらしいそれをぴちゃ、てヤらしい音立てながら塗り広げられて、濡れた布ごとガン勃ちしたモノを扱かれたら、もうそれだけでイキそうなくらい。
「布が薄いんじゃなくて、悦が一杯出しすぎてるからこんなびちゃびちゃなのか。…検査はそんなに気持ちイイ?」
「ふぅうぅっ、ん、うンんっ!ん、ぅ…ぁ、はっ…ゃっ、ぬの、こすれっ…あぁ、ぁ、あッ!」
こんなののどこが検査なんだって突っ込みたいけど、1度摘み上げられて空気に冷やされた濡れた布をまたビチャ、て酷い音立ててモノに貼り付けられて布を中に押し込めるように尿道口を爪でぐりぐりされ、布に敏感な粘膜を擦られるともう、まともに喋れないくらいヨくて。
噛んでろって言われた布もいつのまにか口から滑り落ちてたけど、傑は特に何も言わずに布ごしに俺を追い詰めていく。
「ぁ、はぁあッ…ぁんンっ、ん、んッ!も、ゃ…せん、せっ…あぁあぁッ!」
「…うーわ」
傑の腕の中でびくん、と跳ねて精液吐き出した俺のことを抱きすくめたまま、傑が笑いを含んだ声で言いながらイったばかりで敏感になってるモノをゆるく扱いた。
最後まで出されるようなその手つきにひくん、ひくん、て指先が震えてるのを感じながらぐったり傑の胸板に体預けてたら、不意に目隠しが解かれて目の前が明るくなる。
「下見てみ、悦」
「はぁ、あ…?…ッな、!」
悪戯っぽい声音で促されるまま下を見た俺は、予想以上に酷いソコの状態に思わず絶句した。濡れてるだろうなとは思ってたけど、散々弄ばれてしかもそのままイかされたそこはもう濡れてるとかそういう次元を超えていて、かぁっと顔が熱くなる。
薄青い検査着は股の部分がそりゃもうぐっしょり濡れて色が濃くなってて、しかもさっき出した俺の精液が布の内側から染み出して白濁のドロリとした体液がべったり。
薄い上に濡れてぴったりと張り付く布からはモノの形も色も透けまくって、遊ぶように緩慢にモノを弄る傑の手が離れると、ぬちゃ…、って音を響かせて白い糸を引いた。
なんのAVだよ、って話だ。マジで。
「やっ…これ、脱がしッ…ひぁッ!?っぁ、すぐ…先生ッ、ちょ、待っ…んぁあぁあっ!」
「悦クンすっげぇエロい。見てるだけで先生イキそう」
このケダモノが目の前に獲物がいるのに見るだけで済ますわけねぇんだけど、耳元で低くそんなことを囁かれたら恥ずかしさで感度の上がった体は面白いくらい震えて、まだ生温いぐちゃぐちゃな検査着ごしにモノを扱かれる快感に涙が滲む。
「ひィっ、ぁ、あぁああ!ッや、やだ…ぁッこれ、あぁぅッっ」
「気持ちイイんだろ?こんなにぐちょぐちょにして、こっちまで濡らしてンだから」
「ひくッぅ!」
布ごしにカリをぐりぐりされながらするりと入り込んだ腕に、休みなしで与えられる快感でひくつく奥を指先でカリカリ引っかかれて、そこまでぐっしょり湿った布を押し当てられて会陰を押し上げられる。
俺が耐えられないことばかりをしてくる指先は間違いなく傑のものなのに、布ごしで感覚がいつもと違うから慣れた筈の愛撫にもキツイほど感じて、忘れてた乳首のローターをいきなり最大に動かされるのと同時に2度目。
「はッ、はぁっ…ぁ、ひぃいぃッ…!も、もぉやめ…ッあぁぁ…っ!」
イってる最中にどろどろの布で尿道口をぐちゅぐちゅ音たてて擦られて、そのまま3回目の射精。
鳴き過ぎた所為で喉が枯れて、ろくに声も上げられなくなりながら首を横に振る俺の首筋にちゅ、と優しく噛み付きながら、傑はそれでも手を止めずに今度は布の上から奥に指を突っ込んで俺に悲鳴を上げさせる。
「はぁあぁッっ…あ、ぁあッ、ぁ、!…ッせんせ…ふぁあっ…先生ぇっ…!」
「んー?」
「も、も、ぬい…てぇッ…はぅうぅっ、も…やぁあッっ」
「抜くって、これのこと?」
「ぁあぁあッ!ッぁ、そ、な…あぁッ!おく、奥までッ…はッぁ、あ、あぁんンん…っ!」
「それとも、こっち?」
「ひィッひ、ぁああッ…っちが、ぁッ!…ぁはッ、ゃめっ、ぐちゅぐちゅす、の…嫌ぁあッ…!」
布を巻き込んだままずずっ、と奥まで指を進められて必死で頷いたのに、わざとらしく首を傾げながらさっきからほとんどイキっぱなしのモノを布で覆われたまま、先っぽを撫でるように掌でこすられてガクガク体が震える。
「ひっ、ひ、ぅッ…!ゃだっ、やだあぁあッ…!」
「っと。…暴れんなって。解った、もうしないから」
「は、はぅっ…んンぅうッ!っぁ、はぁあ…っッ」
自分の足首にぎちりと爪を立てながら、ろくに力の入らない体で傑の腕から逃げようと体を無理に捻ると、素早く手を添えて不自由な体の関節が逆に入らないようにしてくれた傑が、逃げた俺をシーツにうつ伏せにさせながら優しく頭を撫でた。
ずる、と中を擦りながら邪魔な布が引き抜かれてゴムの緩いぐしょ濡れの検査着を膝まで下げられ、肌を撫でた空気にさっきまであんなに快感を嫌がってた体がまた熱を持つのにはホント、自分でも呆れる。
「はぁ、あッ…せんせ、先生ぇ…っ!」
「腕捻るからあんま動くなって。いい子にしてろ、っつっただろ?」
「んっ、んッ…する…いい、こ、する…からぁッ…!も、せんせの、欲し…ッ」
足首に縛られたままの手で、指先に触れた傑の白衣を掴んで軽く引っぱりながらねだると、俺の精液やら何やらで濡れた手を純白の白衣で乱暴に拭った変態医師は、俺の頬に口付けながら甘い声で囁いた。
「淫乱末期症状の悦クンに、たっぷりお注射してやるよ」
「はぁ、あッ…!」
モノを”注射”って言うのは前見たAVそのまんまだ、って俺は頭の隅で思って。
いつもみたいにキチンと解されてない所為でキツく締め上げてしまう、傑の熱い”お注射”をされた途端、そんな余裕は吹っ飛んだ。
「…どーだった、お医者さんごっこ」
「ん…」
ずる、て中から出てく生々しい感触に意識を戻したら、傑は片手でネクタイを緩めながら悪戯っぽく笑った。
どう、って…いや、そりゃまァよかったけど。
「…それは?」
「あ?これ?…透明のバルーン」
「…そっちは?」
「カテーテルとー、注射器とー、お薬」
「あの…なんか、変なのは?」
「クスコ」
「…使わねぇの?」
俺がぶちまけたモノとか互いの汗とか体液で濡れた白衣を脱ぎながら、すらすら答える傑にごく、と息を呑みながら思い切って聞いてみる。
そしたら傑は、俺の横にごろっと横になりながら薄く笑って、俺にシーツを被せた。
「今日は”検査”だから。本番はまだオアズケ」
「ほ、本番?」
「淫乱末期症状の悦クンには、いつもよりもーっと恥ずかしくて気持ちよくて苦しいこと体験させてあげたいからさァ?先生もちゃんとお勉強してからにしようと思ってv」
「ッ…!」
「あ、ちなみにお勉強先はカルヴァ女医のとこな」
…はぁッ!?
「カルヴァ!?ちょ、無理!無理だってそんなの!あんな奴のとこ行ったらどんなこと教えられるか解ったもんじゃ…傑!寝るな!聞けよ!」
「俺、午後から仕事」
「っ……」
俺を抱いてシーツに包まった傑に片目だけ開けて言われて、そりゃもう言いたいことはたくさんあったけど、そんな風に言われたらもう二の句が次げない。
傑の仕事は俺よりずっとハードだから、ちゃんと寝かせてやらないとその、もしもってことがあるし…
「す、傑…傑ってば、」
「あァ?何」
「頼むから、あの…あんまり、ハードなのは…注射とかはちょっと…」
「……解った」
その気になれば3秒と経たずに寝付ける傑はもう睡眠モードに軽く入ってるらしく、眠そうな声でそれでも素直に頷いてくれたから少しだけホッと、
「カルヴァが柳一とか涅磐にやってるよーなキッツいの、しっかり教えて貰ってくる」
…出来なかった。
「ヤダ!絶対ヤダそんなん!無理!」
「悦、煩い……起き抜けに300キロ走んなきゃなんねーんだよ、寝かせて」
「う…っ…わ、かった。…お休み」
「お休み…」
…すぐ寝息を立てだした傑に抱かれたまま、次はどんな酷いことをされんのかとビクビクしながら鼓動を早めてた俺がその夜一睡も出来なかったのは、言うまでも無い。
Fin.
お医者さんコスプレもののAV一緒に見てたらなんか愉しそうで、ノリで通販でお医者さんごっこセットとか買ってみたら傑が気に入っちゃってあら大変、という話(ちなみにAVはNL)