酔蜜



 次々と並んでいく、空になった色とりどりの酒瓶。

 手酌で注がれた液体はあっという間にその唇に吸い込まれて、酒がグラスに注がれて、飲み干して、注いで、……その繰り返し。

 テーブルに頬杖突いてそれを眺めながら、俺は小さく溜息を吐いた。










「……あ」

 目の前にいる俺を放ってひたすら酒をかっくらっていた悦が、約1時間ぶりに声を出した。
 何かと思って閉じてた目を開いてそっちを見たら、じっとこっちを見てる瑠璃の瞳。あー、ダメだ。完全に据わってやがる。

「…どした?」
「無くなった」
「もう無ぇよ、酒なんか。それで全部」
「……チッ」

 人の酒飲み尽くした挙句に舌打ちかよ。

 それなりには強いけど、俺と違って悦は人間だから浴びるように飲めばそりゃあ少しは酔う。俺の部屋の常備酒は全部バカみたいに度が高ぇのばっかりだしな。で、珍しく酔ってンなぁと思ってたらこれだ。


「…死ね」
「は?何で」
「気分」
「お前の気分で死ねってか」
「…何が?」

 …ラチ開かねぇ。

 溜息吐きつつ立ち上がって、このままだと無いなら酒買って来いとか言い出しそうな悦の唇をキスで塞ぐ。腕を纏めて押さえつけて床に押し倒したら今度は踵落としが振って来て、酔ってるくせになかなか体重の乗った一撃に一瞬息が詰まった。


「っ離せ、バカ、死ね!」
「うるっせぇないい加減にしねーと足腰立たなくすンぞ酔っ払い」
「はッ、デカい口叩きやがってテク無しが」
「…へぇ、そういうこと言っちゃうんだ?」

 酔っ払いの戯言だって解ってはいるけど、テク無し、ってのはちょっとムカついた。
 俺じゃ満足できねぇってワケですか。

「そういうことなら今日は一切触ってやんねぇ」
「っじゃあ離せよ!」
「それはダメ」

 脱ぎ捨てた俺の服で両腕を一纏めに縛り上げて、まだ暴れてる悦の袖口から抜き取ったナイフで服ごとその腕を床に縫いとめる。

「大人しくしろって。痛い目見たいのか?」

 じたばた暴れてる悦を首掴んで押さえつけて、思いっきり意識して掠れさせた声で囁けば、律儀に震える淫乱な体。

 …さて、今日は何して遊ぶかな。










「んぁあッ、ぁ、あっ…変、なモン…入れ、んなぁ…ッ!」

 幽利ンとこから借りてるライフルの両端に足首括りつけて、開脚のまま固定して四つん這いにさせてる悦が、肩越しに振り返って叫ぶ。

「そう言う割には随分ヨさそーな声出してンじゃん」
「ッふ、ざけ…ヨくなんかな、…ぁ、あっあぁああっッ」

 強情を張りつづける悦に軽く笑いながら、手で弄んでた硝子玉。いわゆるビー玉ってやつを続けに押し込んでやる。
 これで5つ目。

「ひぅっ、ぁ、ふぁあぁあ…!」

 まだ何もしてやってないモノからも先走りがとろとろ零れてて、床に小さな水溜りを作ってた。
 ちょっと触ってやったらすぐイキそーだけど、今日は俺触れないし?あんな戯言口実にして苛めるなんて自分でも質が悪ィと思うけど、いつもより強情な悦を苛めンのも結構面白いし、別にいいか。


「ひぁンッ…!」
「はい、6つ目」
「んんッ…も、止めっ…出せ、ッ…!」
「だって俺触れないし?嫌なら自分で出せよ」

 ま、出させねぇけど。

 力抜いてビー玉出そうとする悦を眺めつつ、俺は傍らの袋からもう2つビー玉を取り出した。さっき入れたビー玉が少し見えた所で、新しい2個でもっと奥まで押し戻す。

「んゃぁああ!ぁ、あッ、ゃめ…も、入れなっ…ひぅうぅっ!」

 新しいビー玉を入れる度に中に入ってる分が動いてイイトコロを抉るらしく、悦がびくびく跳ねる。そろそろイクかなー、なんて思いながら9個目。

「や、嫌ッ…ぁ、あぁああぁッ!」

 なァにが嫌だよ、しっかりイってンじゃねーか。
 びしゃ、て床に飛び散った白濁を冷めた目で見下ろしてやれば、酔ってる以上に恥ずかしいらしく真っ赤になって俯く悦。


「何、お前ビー玉でイッたの?」
「っ…うるさ、ぃ…」
「つくづく素直じゃねーな、今日は」
「そ、なのっ…ひ、ッ!?」

 わざと聞こえるように溜息吐きながら言って、酒のお陰で強情になってる悦が噛み付いてくる前にイったばっかりのモノにバイブを押し当てる。

 シリコンに覆われてて薄ピンク色をしたそれは、先端からカリにかけてびっしり突起が生えてる代物で、肩越しに振り返った悦がそれを見て引きつった声を出した。

「俺は別にいーけどさ。素直になるまで苛めるだけだし」
「ひっぁ、ぁあ、あ、あッ!」

 イソギンチャクみたいな突起でざりざり裏筋擦りながら耳元で囁いて、中に10個目、11個目と続けて押し込んでいく。
 バイブを傾けて突起で尿道口を抉りながら13個目。15くらいは入ると思ったんだけど…これじゃ無理っぽいな。


「あぁッ、あ、ぁ…!も、ゃめっ…苦し、ぃ…ッ」
「大丈夫だって。もう入れねーから」

 残りのビー玉を袋に戻して、俺は優しく囁きながら先走りでどろどろに濡れたバイブをモノから離した。シリコンに覆われて柔らかいそれをビー玉で一杯になった奥に宛がって、悦が反応する前にカリの辺りまでを一気に埋める。

「ひぃンッ!ぁッ、あ゛ぁっ、ぁああッっ!」

 ライフルを片足で抑え付けて床に固定しながらバイブを回してやると、中に入ってるビー玉が突起に引っかかって、ゴリュゴリュ音立てながら動いてるのが解る。

「ひぁあ゛ぁあッ、…嫌ぁっ、ゃ、ぁあァあッっ…!」
「またイった。…2回もイってる癖に何が嫌だって?」

 俺がバイブを動かす度に中で暴れまわるビー玉に前立腺をめちゃくちゃに叩かれて押しつぶされて抉られて、掠れた声を上げながら悦が2度目の精液を吐き出した。
 そのイった直後の敏感な柔肉をバイブを小さく抜き差ししてぐちゃぐちゃにしてやると、悲鳴に近い声を上げた悦がガクガク震えだして、舌突き出して喘ぎながら濡れた唇が紡ぐのは哀願の言葉。


「ぁひィいぃッ!ひぐっ、あァ゛ぅうっ…!や、も、ゃらぁあ…っビー、玉、がぁ…ッっ!」
「ビー玉が、何?」
「んあぁ゛ぁあッ、ぁっだ、めぇえッ…!中、で擦れ…ぁあ゛あぅッ…こすれ、てぅ…からぁっ」
「擦れて、それで?痛い?苦しい?」
「あ゛ぁあぁッ、あっ、あーッ!ゃめっ…な、中、ごりごりして…っふぁあ!」

 ごりゅ、ごりゅ、と音を立てながら中を掻き混ぜるビー玉が前立腺を擦るたびにイって、ほとんどイキっぱなしの状態で精液を床に零してる悦を責め立てながら、俺はドロドロに濡れてる悦のモノの根本をぎゅっと握った。

「ひィッ!やぁァあぁッ、手、離しっ…ぁあぁぅうッ!も、ひゃぁあッ許し、てぇえ…ッ!」
「お前、俺が何に怒ってンのか解ってる?」
「っあ゛ぁ!わ、かんな…ッ、あ、手ッ…取ってぇっ…!」
「ったく…」


 袖ごとナイフで床に腕を縫い付けられたまま、それを引きちぎる力も出ないのか泣きじゃくって哀願してくる悦に、俺は軽くため息を吐きながら根本を押さえつけてた指を離した。

 しょーがねェな、なんて思いつつもイケるようにバイブ動かして煽ってやって。泣きながら精液ぶちまけてガタガタ震える悦が、マジでこのままぶっ壊したくなるくらい可愛い。

 バイブ引き抜いて、ついでに袖を縫いつけてるナイフを引き抜いてやったら、途端にしがみついて来る震える腕。
 ついさっきまでのあの強情さはなんだったんだってくらい、全身で甘えてくる悦を優しく抱きしめて。酒と快感に完全に酔ってるこんな時にしか言えない言葉を、その耳元で甘く囁く。


「凄ぇ可愛い、悦」










「頭痛ぇ…」
「そりゃ、あれだけ飲めばな」
「…腰痛ぇ」
「そりゃ、あれだけヤればな」
「……何だよ、…機嫌悪ぃ」
「別にぃ?」
「……。…アレ、は…酔ってたからで、別に…本気とかじゃ、無いから」
「あ?」
「ッ…だから、テク無し、とかっ…思ってない、から」
「…うわー…」
「…っ何だよ!あれだけ仕置きしたんだからもう…ぅあっ!?」
「お前さァ、その無自覚でナチュラルに誘ってくンのマジで止めて。抑えンのにどれだけ苦労すると思ってンだよったく…」
「誘って無ぇって!ちょ、止めッ…~~~っッ!」



 Fin.



つ、強気な受けを目指したんですが途中で挫折してしまいました

←Back   Index   Next→