「んふっ…ぅ、ンん…っは、…ぁッ」
逃げられないように強く腰を引き寄せて体を密着させたまま、根本まで絡め取った舌を自分の中に引きずり込んで甘噛み。
素直に跳ね上がる体が崩れないように片腕で腰を抱いたまま、縋るように摺り寄せられる薄い舌を1度突き放して、唇の端から溢れた透明な雫を追う。焦らすように下から舐め上げて吸い付いて、それだけで震える素直な体に薄く笑っても、とっくに俺が溶かしきってやったそれは言葉の出し方なんて忘れたように、健気に震えながら俺のキスを待って半開きの唇からちらちら覗くだけ。
望み通りに一際荒く喰らいついた俺の舌に自分から絡んで、痺れてまともに動かないクセに精一杯唇を合わせて来る、その色気と来たらそれだけで犯罪並み。
「ん、んッ…は、…ふぁ、…ッ」
「って…」
…なんて惚気てたら、壮絶にエロいその仕草にヤられた俺の舌戯が緩んだ隙に首を振って逃げた悦の、それまでシャツの裾を握り締めるだけだった腕が強く胸板を突き飛ばして、押し倒されるように背中を脱衣所の壁に派手に叩きつけられた。
濡れた唇を舐め上げながら片手が首に絡みついて引き寄せ、もう片方の手が俺のシャツの襟元にかかる。最初っからろくにボタンなんてかけちゃいねぇのに、すっかり余裕のない悦は襟にかけた手を一気に引き下ろして、数少ないまともに留まってたボタンを弾き飛ばされたシャツを大きく開く。
散々吐息に撫でられた首筋に吸い付いてくる舌を襟元を引きずり上げて引き剥がして、すっかり潤んだ瑠璃色にまっすぐ視線を合わせたままキス。
「はぁッ…んむ…っぁ、ンんッ…!」
絡めて吸って舐め上げて。いいように柔い口ン中を犯しながら、壁に背中を預けて膝で悦のモノをジーンズごしに押し上げる。
逃げるように軽く腰を引いてるクセに、きゅっと閉じていた瞼を薄く開いて見上げてくる瞳はあからさまに欲情していて、強くガクンと揺さぶってやれば甘い声を上げてほとんど力の入ってない体が縋りついて来た。
朝までヤり倒していい加減べたべたになった体を風呂ン中でじゃれ合いながら洗い流して、もうこれ以上はヤバいってことで脱衣所に出てきたら、どうしてそんなに節操が無いんだって、解りきった事を今更聞いてくるから正直にその理由を述べてやってたら、照れたらしい悦が俺の声をふさごうとキスして来た。
ろくに舌の使い方もしらなかった悦にキスの良さをイチから教え込んだのは他でもないこの俺で、教育の賜物なのか素質の所為なのか両方なのかは知らねぇけど、今となってはすっかりこの淫乱な恋人はこの遊びが気に入ってるらしい。
意外と真面目な悦のことだから、きっと幽利辺りに新しいテクでもこっそり聞き出したんだろう。最初は適当に流してベッドまで連れ込もうと思ったはずが、俺が教えた覚えの無い舌戯に乗せられて、ついつい相手してたらズルズル続いて今更止めるに止められなくなった。
「んふ、ぅ…傑、ぅ…ぁふ…ッも、っと…」
「…煽ンなよ」
こんな擬似性交とっくに慣れきってる筈なのに、キスを覚えたてのガキみてぇに吸い付いてくる悦に煽られて、受け流してやる余裕も保てずに噛み付いてる俺も大概、終わってる。
「…ッぁ、ふ…はぁっ、ぁ…す、ぐる…っ」
「ん?」
首に腕回して縋りついて来る悦と自分の体重を左足1本で支えながら悦の腰を片腕で抱きなおしたら、それまでトんだように虚ろな眼で快感だけを追ってた悦が思い出したように俺の胸板を叩いた。
当然その程度で逃がしてやるわけねぇから、逃げようとしてる腰を引き寄せて足を膝で割り開いてやると、ぺしぺし胸板を叩いてた手が耐えるように肩口に爪を立ててくる。
「んだよ、…腰立たない?」
「違っ…ゃ、そ…れもある、けど…っんンぁ!、は…んむっ…んぅン!」
…あぁ、そう言うこと。
膝をぐっと押し当てると大袈裟なくらいに体を跳ねさせる悦の唇を塞いで、逃げる舌を試しにキツく吸い上げてやれば、びくりと震えた悦の膝からあからさまに膝の力が抜けた。
「ふぁっ…ゃあ…ッ、は…はン、ぅ…ッ」
「何、キスだけでイキそ?」
「ぁふっ…ゃ、も…らめ、ぇ…っ!」
足を割り開いてる膝を持ち上げてぐり、とガチガチになってるモノを押し上げてやると、しがみ付いてくる悦の体がびくびく震える。
素直すぎるその反応が可愛くて何度かリズムをつけて揺さぶっていると、薄っすら眼を開いたまま、涙に濡れた睫を微かに瞬かせて俺を見上げた悦の手が俺の頭を掻き抱いた。
深く浅く、強弱をつけて薄い舌に自分のそれを絡めて、とっくの昔にそんな余裕の無い悦の唇の端から雫が伝うのも構わずに、わざと派手な水音を立てて吸い上げたり濡れた唇を甘噛みしてやれば、耐え切れなくなったらしい悦の足が自分から俺の腰に絡みついて、腰がおずおず摺り寄せられる。
「…淫乱」
「んんッ…は…ふ、ぅ…ぁっ…ゥん、…ッ」
息継ぎの合間に囁いてやると、すっかり快感に理性も意識も蕩けた悦の瞳が少し恥ずかしそうに反らされて、俺の後頭部に回した手でくしゃりと髪を掴みながら、顔を寄せた悦が続きをねだるように唇を舐めた。
当然、そんな顔している間も足は腰に絡んだまま。しかも控え目に振られだして、上と下で正反対の反応に思わず笑えた。
「んぅッ、ん、んーっ…はッ…ぁんンっ…!」
いつもなら適当なところでさせてやる息継ぎをわざとさせずに、悦の手がぎゅっと俺の髪を掴むまで我慢させてやっと解放してやれば、涙の膜を張ってた瑠璃色から零れるように涙がつぅ、と赤く染まった頬を伝う。
その、俺にとっては媚薬以上の光景に煽られて控え目に振られる腰を引き寄せてキツく追い上げてやると、多分先走りでぐずぐずになってるんだろうそこからくちゅ、と篭った水音が聞こえて、どうしようもなく欲を煽る状況全部に、眩暈さえ覚えた。
「ふぅ、う…っぁ…ふ、…ぁ!」
ぴったり張り付くような態勢の所為でロクに腰が使えねぇから、キツく抱きしめたまま悦の痴態に触発されまくったモノで追い上げて、上がる悲鳴を飲み込んで震える舌に噛み付いた。
「ぁンッ…は、ぁっ…ぁ、んッ!んンーッっ」
テクなんてあったもんじゃない、ケダモノみたいな擬似セックスに焦らされ続けた体の限界が来たらしく、派手に背筋を震わせた悦の手が俺の髪を強く引いて、押し当てたモノごしにイったのを感じながら、その1番甘い悲鳴さえ逃すのが惜しくて吐息ごと嬌声を飲み込む。
引きちぎる気かってくらい髪を握り締めてた手がゆっくりと解けて、くたりと力を抜いた悦がしなだれかかるように俺の首に手を回した。
「はぁ、…ふ…っ…す、ぐる…ど…しよ…」
「ん?」
イイ感じにかかる熱っぽい吐息で首筋をくすぐられながら、悦を抱き寄せたまま壁を背中にゆっくりその場に座り込んで、くったり足を投げ出した悦の体を膝の上に抱き上げて首を傾げると、蕩けきった微笑を浮かべた恋人は心底幸せそうに、
「ヤバ…すげ、きもち…ィ…」
カチャ、リ。
「も、…クセ、なりそ…」
「へぇ?」
つつ、と俺の腕を滑った腕がベルトのバックルを慣れた手つきで外すのを聞きながらその目じりにキスして、たっぷり意識して掠れさせた声を吐息ごと、その耳元に滑り込ませる。
トロンとした眼はそのまま、奥に明らかに雄の欲をちらつかせるその瞳が望むものを、今更聞き出そうなんて無粋なことは勿論、思わない。
「いいぜ、…付き合ってやるよ」
お前と俺の、気が済むまで。
…いくらでも。
Fin.
お久しぶりのリクエスト品です、智紗様に捧げます。
リク内容は「傑のキスと声でイってしまう悦」
素敵リクありがとうございました!